保険のプランによっては、HSA(Health Saving Account)という、税金が優遇された医療費を貯蓄するための口座を開設できる場合があります。
このHSAは、賢く使うことで、節税効果に加え、HSAに貯めたお金は運用できるので、長期運用することで、将来401k(企業型確定拠出年金)やIRA(個人型確定拠出年金)のように老後資金として活用することができます。つまり、HSA、401k、IRAは老後資金のための資産運用とまとめて考えても問題ないかと思います。
ここでは、HSAの最も効果的な活用方法をまとめたいと思います。
HSAの節税効果
HSAには大きく3つの節税ポイントがあります。
1つ目に、HSAに貯蓄するお金は、上限がありますが、所得控除されるので、所得税がかかりません。
例えば、年収が1000万円あったとして、所得税が20%とすると、200万円税金で徴収され、手元には800万円しか残りません。
しかしここで、HSAに100万円回せたとすると(実際はもう少し低額です)、900万円に対して課税されるので、180万円税金で徴収され、手元にはHSAに回したお金も合わせて820万円残ります。つまり20万円分節税できるのです。
2つ目に、HSAに貯蓄したお金で運用して得た運用益は、課税されません。
通常、運用益は課税対象となりますが、HSAに貯めたお金で運用して得た利益については対象外となります。
3つ目に、HSAに貯蓄したお金は、医療費目的であれば非課税でいつでも引き出せる。
通常、HSA、401k、IRSのような長期運用のプランでは、老後に使うことを想定しているため、それぞれ65歳、59.5歳、59.5歳の決められた年齢より前にお金を引き出してしまうと、そのお金には所得税がかけられたり、場合によってはペナルティとして追加で費用が発生する場合があります。
しかし、HSAは、医療費貯蓄用口座ということで、医療費としてお金を引き出す分には、指定された年齢より前に引き出したとしても、課税されたりペナルティが発生することはありません。
以上3つの節税効果を考えると、お金に余裕があれば、毎年上限まで拠出して、医療費は全額HSAで支払い、残りのお金を長期運用して老後に取り出すのが理想的かと思います。
ただ気をつけないといけないのは、いつか日本に帰国する場合、HSA口座を開設する会社によっては、そのまま資金を維持できない場合もあったり、維持できても、将来積み立てた資金を日本で引き出すときに税優遇が適応されない可能性もあるので、それらを確認して、HSAを利用することによる利益と、帰国に伴って生じうる損失を天秤にかけて判断することになるかと思います。
HSAをより賢く使う
ここではもう一歩踏み込んで、より賢くHSAを利用する方法についてまとめたいと思います。
HSAに貯めたお金は、運用に回すことができるというのは上でも述べましたが、運用することに着目して考えると、運用資金が多いほど運用益も多くなります。
実はHSAでは、医療費目的でお金を引き出す場合、HSAの口座から直接支払う方法以外に、まずは自分で立て替えて、将来HSAからそのお金を医療費として引き出すことができるのです。
つまり、この方法を用いると、まずは医療費は全額自分で立て替えて、将来まとめて立て替えた分の医療費をHSAから非課税で引き出すことで、その間、より多額の運用資金でより多額の運用益をあげることができるのです。
例えば、年収が1000万円あったとして、HSAに100万円回せたとして、900万円にたいして所得税が20%で課税されたとすると、手元にはHSAの100万円と課税後の720万円が残ります。ここで、医療費が100万円かかったとして、HSAから直接払ってしまうと、運用資金は0円となりますが、自分で立て替えると、HSAに100万円、残り620万円が手元に残り、HSAの100万円をそのまま運用資金に回すことができるのです。
そして将来的に、立て替えた100万円をHSAの口座から非課税で引き出すまで、この資金を運用に回すことができるのです。
しかし気をつけないといけないのは、引き出す際に、立て替えた証明をしないといけないので、自分がHSA口座を開設している会社に、どういった書類が必要となるのかを確認し、それを将来的に引き出すまできちんと保管しないといけません。
また、期間の制限はないようですが、念の為、いつの医療費分まで遡って引き出すことができるのかも、確認しておいた方が無難だと思います。
税金は侮れません。塵も積もればで、こうした節税対策をしっかり施しておくことで、かなりの額を節約することができます。日本に帰国する場合も考えると、更に色々と複雑で面倒ですが、分からないことはとにかく担当の会社に問い合わせましょう。こういう努力を積み重ねていくことで、将来的には自分が報われるはずです!、と私は信じています。
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