Netflixオリジナルドキュメンタリー「赤ちゃんを科学する」パート1まとめ

Netflixオリジナルドキュメンタリー「赤ちゃんを科学する」を見たので、ここではパート1の内容をまとめたいと思います。

このドキュメンタリーでは、15人の赤ちゃんを1年間撮影して、36人の科学者たちがそれぞれのアプローチで赤ちゃんの様々な謎に迫ります。全6エピソードで、各エピソードについて3人の科学者たちの研究成果が語られています。

このドキュメンタリーを見たことで、以下3つの利点がありました。

  • 赤ちゃんの発達を促すように育児方法を改善することができそう
  • 赤ちゃんの生態を理解できたことで、眠らないなどの現象をそのまま仕方がないと受け入れることができそう
  • 同じく育児に奮闘している様々な家族をみて、自分だけじゃないと励まされる

ドキュメンタリーは、それぞれの科学者がどうしてその分野に興味をもったのかから始まり、解き明かしたい謎、解明に向けて行った実験、その結果という流れで進んでいきます。

パート1まとめ

エピソード1:愛情とスキンシップ

  • 親子の絆

オキシトシンは、母親では妊娠中から産後にかけて高い値を示し、親子の絆の形成につながると考えられていたが、育児に参加している父親でも母親と同じく高い値を示すことがわかった。

扁桃体は、出産によって母親の脳で活性化し、警戒心が強まり子供を心配するようになる。その大きさは父親の4倍。でも、母親がいないゲイカップルを調べたら、同じように扁桃体が活性化していた。

→父親でも、育児に積極的に参加することで、母親と同じように子供との絆を形成することができる。

  • 赤ちゃんの社会性

赤ちゃんに対して無表情で接すると、赤ちゃんのストレスホルモンのコルチゾールの値が上昇するが、良好な親子関係を築いている親子では、その上昇度が低かった

→良好な親子関係は子供のストレス耐性を強くする。

  • 子育てと赤ちゃんの発達

親にあまり反応してもらえない赤ちゃんは、苦痛を処理する海馬がより大きくなっていた

→子育ての仕方は赤ちゃんの脳に影響を与える。赤ちゃんにはできるだけ反応してあげるのが良い。

 

エピソード2:食事と栄養

  • 母乳(研究があまり進んでいないようで、基礎研究っぽいです)

母乳の成分が似ていて、人より4倍早く成長するサルでは、息子の時の方が母乳が濃厚で、娘の時の方がカルシウム・リン比が高かった。女の子の方が早く成人期に達するため、カルシウム・リン比が高いのは納得がいく結果。

牛では、娘の時の方が母乳量が多く、次の子でも母乳量が多かった。娘効果と呼ばれ、人でも同じ現象が見られている。

母乳の成分は各母親によって異なり、オーダーメードされていて、それを与えることで子供の発達に影響を与えていると考えられる。

  • 赤ちゃんの成長と発達に必要な栄養素

世界中で人の微量栄養素不足が見られている。世界の20億人が鉄不足、18億人が亜鉛不足、9億人が要素不足。特に鉄は学習と記憶に関わる大切な要素。鉄が不足している赤ちゃんは、母親と他人の声をうまく識別できていなかった赤ちゃんには、母親の子宮で生後4ヶ月分の鉄分が渡される必要がある。

→産後だけでなく、赤ちゃんのことを考えた妊娠中からの栄養補給が大切。

  • 赤ちゃんと微生物

犬や猫に接している赤ちゃんは喘息などの免疫の病気から守られることが知られている。ペットのいる家庭といない家庭を比べたら、ペットがいない家庭では微生物が少なく、幼少期に喘息になるリスクが高かった。また、腸内微生物の構成を調べることで、喘息にかかるリスクが高いか低いかを予測することができた。

→幼い時期から微生物にふれる事が大切。まだ新開拓分野なので具体的な提唱はできないが、病気予防のため、無菌環境よりは微生物がいる環境の方が良い。

 

エピソード3:はいはいの科学

  • はいはいの能力

はいはいは反射作用によるものと思われていたが、まるで進んでいるような映像を見せるとはいはいの動きを示した

→はいはいは反射作用ではなく脳からの指令であることが示唆された。

はいはいは生後8ヶ月頃になってからと思われているが、特注した器具の上に赤ちゃんをのせて刺激すると生後2日目の赤ちゃんもはいはいできた

→乳幼児は頭が重いためにはいはいできないだけで、乳幼児にもはいはいをするエンジンは備わっていることが示唆された。

  • 成長曲線

成長曲線は点と点をつなげてカーブを描いているが、その間のより詳細な成長過程については不明だった。30人の赤ちゃんについて毎日身長を計測したところ、身長が全く変わらない日が続いたかと思えば、1日で5 mmから1.65 cm伸びる急成長期があることが分かり、さらにはそのタイミングで赤ちゃんの態度が急変(睡眠、食欲、癇癪など)していることがわかった。

→赤ちゃんの態度が急変しているのは、突発的に起きる成長、急成長期のせいかもしれない。

  • はいはいから学ぶこと

これまではいはいの研究は平らで直線な環境でしか調べられてこなかったが、それは現実世界の環境とは異なる。傾斜のあるスロープで、赤ちゃんがどういう判断をしてはいはいするかを調べたところ、90度の直角の傾斜で、はいはい初心者の赤ちゃんはそのまま進もうとし、中級者の赤ちゃんは怖がり、上級者(はいはい20週目)の赤ちゃんは体の向きを変えて足から降りようとした。最初は判断ができず何でもチャレンジをしようとするが、だんだんと周囲の状況を理解し、それから対応するようになっていった

→はいはいを通じて、赤ちゃんは環境における体の使い方を学んでいて、色んな環境に赤ちゃんを触れさせることで、体の使い方を学ばせることができる。

発達過程には順序があると思われていたが(寝返り→すわる→はいはい…)、それぞれの段階に決まった順序はない。様々な順番でスキルを学ぶ。はいはいは歩けるために絶対必要なステージではない。

 

エピソード4:初めての言葉

  • 音から言語へ

赤ちゃんはいつから聞いている言葉を音ではなく言語と認識するようになるのか。自然なスピーチと抑揚や間がおかしい不自然なスピーチを2種類用意して、赤ちゃんの左と右から聞かせると、自然なスピーチの方を圧倒的に早く、そして長く見た。小さな赤ちゃんでも、言葉を音ではなく言語として捉えることができている。生後2日でも言語の種類を識別できることがわかっている。

→幼い頃から赤ちゃんと会話する時間を作っていけば、より高い言語能力を身につけることができるかもしれない。

  • 言葉の組み合わせ

「かわいい赤ちゃん」と聞いた時に赤ちゃんはどうやって「かわいい」+「赤ちゃん」の組み合わせと認識するのか。人工的に作成した2種類の言葉の組み合わせ(例えば、A+B)を2分間聞かせた後、この言葉と、デタラメな2種類の言葉の組み合わせ(例えば、B+A)を赤ちゃんの左と右から聞かせると、デタラメな方をより聞いた。つまり、人工言語を学んで飽きたためにデタラメな方を聞いていたと考えられる。また乳児期の赤ちゃんは、言葉のリズムやピッチで2つの言語を区別することもできる。

→言葉を発していなくても、赤ちゃんは言葉に沢山触れることで言語を学んでいる。複数言語を学ぶなら乳児期がよい。

  • 発声学習(音を聞いて再現すること)

何万種もの脊椎動物の中で、発声学習できるのは3種の鳥と5種の哺乳類(ヒトを含む)のみ。研究が進んでいる鳥で調べてみると、発声学習している鳥では、ヒトの脳で言語を司る部分と似たところが活性化していた。つまり、鳥とヒトで発声学習には類似性があることがわかった。また、鳥を調べてみると、羽ばたく時に活性化している脳の部位は、発声学習の時に活性化している場所の隣であることが明らかになり、発声学習は運動から進化してできたと推測される。

→これをヒトに当てはめて考えると、進化の過程から、発声には時間がかかることが納得できる。

ヒトはSRGAP2という遺伝子で余分なコピーをもっていて、これがヒトが高度な言語能力を有する理由かもしれない。

 

エピソード5:睡眠

  • 赤ちゃんはいつ眠りを学習するのか

赤ちゃんの睡眠を記録しているアプリのデータを使って世界中の赤ちゃんを調べてみると、共通して、1ヶ月の乳児にはパターンはないが、4ヶ月になると初期のサイクルが見えてきて、8ヶ月にはパターンの兆候が見えてきて、8ヶ月には明確なパターンが見えてくる

→世界共通で、赤ちゃんが夜通し寝てくれるまでには時間がかかる。

  • 睡眠と覚醒

赤ちゃんは1日に何百回と睡眠と覚醒を繰り返すが、睡眠サイクルを担う脳幹と、体内時計(概日リズム)を司る視床下部は乳幼児では回路がつながっていない。成長してこの回路つながるようになると、リズムができてくる。

→3−4ヶ月頃までは睡眠と覚醒の脳回路がつながっていないので、親ができることはあまりなく、成長を待つしかない。

寝てる時のピクッと痙攣する動きは夢の副産物と思われていたが、脳は活発に活性化していて、体の使い方を学んでいると推測される。

  • 睡眠と学習・記憶

新しいおもちゃの使い方を教えると、昼寝した赤ちゃんは、昼寝しなかった赤ちゃんに比べ、おもちゃの使い方をちゃんと覚えていた。睡眠中の赤ちゃんの脳を調べると、活発に活動していて、短期記憶を司る海馬から、長期記憶を司る大脳皮質に情報を移動していることがわかった。

→乳幼児の海馬は小さいことを考えると、短期記憶から長期記憶に頻繁に記憶を移動させる必要があり、そのため何度も眠る必要がある。睡眠は赤ちゃんにとって記憶を整理する時間。

 

エピソード6:最初の一歩

  • 赤ちゃんの歩行能力

新生児を体重を支えて平らなところにおくと、ステッピングと呼ばれる二足歩行の動きを示すことが知られている。生後2−3日の新生児のステッピングの時の筋肉運動と、自立歩行する幼児の筋肉運動を比べた結果、新生児では床の上で体重を支え、体をゆらす2つの筋肉運動パターンが見られ、同じパターンが幼児にも見られた。幼児はこれに加えて、着地の動きと足を蹴り上げる動きの2パターンも見られ、新生児の時の動きが土台となって自立歩行できるようになっていることがわかった。

→新生児は、生まれつき歩行能力を有している。赤ちゃんを動かして筋肉を使わせることが、自立歩行につながる。

  • 運動と骨の成長

乳幼児のころの運動は骨の成長に影響を与えるか?博物館の遺骨を調べて骨の断面を調べると、大人の骨の断面が涙型で前後に長いのに対して、乳幼児の骨の断面は楕円形だった。歩く時、大人は前後に体重移動するのに対して、幼児は歩く時に前後だけでなく、左右にも体重移動するため、それに耐えるために骨の形が変化していくことが推測される。

→骨の形成のために乳幼児期からの運動が大切。

  • 歩行と言語能力

年齢に関係なく、歩く赤ちゃんははいはいする赤ちゃんよりも多くの言葉を理解し、話すことができた。そこで赤ちゃんが家でどんな言葉を聞いて発するのかを録音して調べたところ、親が話しかける言葉の量も、赤ちゃんが話す言葉の量も、歩く赤ちゃんとはいはいする赤ちゃんで違いはなかった一方で、言葉の質(擬音語など)が歩く赤ちゃんの方がより豊かだった。つまり赤ちゃんは、歩きだすと言語発達に変化がでて、言葉の数が増えることが示唆された。

→言語発達のためには、何歳であれ赤ちゃんに話しかけることが大切。歩きだしたらより一層、話しかけることが大切。

以上がパート1のまとめです。パート2についてはまた次の記事にまとめたいと思います。

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まり
アメリカで2人の男の子を出産後、本帰国した30代。帰国後は4匹のコリーと子育て中。アメリカ・日本での妊娠・出産にまつわる情報を発信中。 好きなものは、犬・ミステリー小説・タイムトラベルもの。